《ダミアン・ストーン 〜偉大な国の影にて〜》

Part 2:「金の亡者となったリーダー」

私は彼の傍に座っていた。目の前には、地図🗺️ けれどそれは、世界地図ではなかった。

国名も境界線も、すべてがぼやけている。代わりに、ところどころに黒い印がついていた。私にはそれが、蜘蛛の足のように見えた。

「これは何?」と尋ねると、ダミアンは低く囁いた。

「取引の地図だよ。」

その言葉に、私は一瞬、息を飲んだ。

彼の指が示した黒い点のひとつには、どこか中東の香りを感じさせる砂漠地帯の影。

また別の点は、広大で寒々しい大地を背負っているように見えた。

「インサイダー取引?」と聞き返すと、彼は微笑み、静かに頷いた。

「私の手は、もう清くはない。」

彼は、かつて誇りにしていた“祖国”を混乱に巻き込んでいた。

表向きは政策としての関税、だがその裏には、暴落した株と急上昇した

コモディティ価格(世界で使われている原材料)に群がる影の存在。

彼自身が動かなくても、彼の一言で、動く富豪たちがいた。

その中には、海を越えた“ある島国”の商人たちもいた。

はっきりとは言わなかったけれど、言外に含まれるその意図が、私には届いてしまった。

彼の家族はもう、その見返りとして莫大な資産を手にしていた。

だがその代償として、彼自身はもう自分の意思では動けない。

蜘蛛の巣に絡まった蝶のように。

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《ダミアン・ストーン 〜偉大な国の影にて〜》

昨晩、不思議な夢を見た。

Part 1:「夢の入り口」

私はどこか見覚えのない、けれど威厳のある広い部屋に座っていた。壁は静かに輝く金の装飾で縁取られ、天井は高く、外の世界の音はまったく聞こえなかった。ただ、部屋の中だけが、まるで止まった時間のように静かだった。

そこで私は、一人の男と向かい合っていた。

彼は歳を重ねてはいたけれど、どこかエネルギーを感じさせる姿をしていた。整えられた髪に、真っ赤なネクタイ。堂々とした姿勢。それなのに、その目には深い疲れと、言いようのない迷いが宿っていた。

名前は言わなかった。でも、私は知っていた。

彼は“かつて偉大な国を率いた男” ダミアン・ストーン。

「アメリカを、再び偉大に」そう語っていた人物。

あのフレーズが頭の中に響くたび、彼の正体が明確になる気がした。

「あなたは、私のことをどう見ている?」

唐突にそう聞かれた。

答えに迷った私は、少し間を置いてからこう言った。

「……迷ってるように見える。」

すると、彼はふっと笑った。でもそれは、嬉しそうな笑みではなかった。

どこか自嘲するような、虚しさを含んだ笑み。

「君は、見る力があるのかもしれないね。」

そのとき、私は確信した。

これはただの夢じゃない。

これは“何かを見せられている”夢だと。

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