Part 2:「金の亡者となったリーダー」
私は彼の傍に座っていた。目の前には、地図🗺️ けれどそれは、世界地図ではなかった。
国名も境界線も、すべてがぼやけている。代わりに、ところどころに黒い印がついていた。私にはそれが、蜘蛛の足のように見えた。
「これは何?」と尋ねると、ダミアンは低く囁いた。
「取引の地図だよ。」
その言葉に、私は一瞬、息を飲んだ。
彼の指が示した黒い点のひとつには、どこか中東の香りを感じさせる砂漠地帯の影。
また別の点は、広大で寒々しい大地を背負っているように見えた。
「インサイダー取引?」と聞き返すと、彼は微笑み、静かに頷いた。
「私の手は、もう清くはない。」
彼は、かつて誇りにしていた“祖国”を混乱に巻き込んでいた。
表向きは政策としての関税、だがその裏には、暴落した株と急上昇した
コモディティ価格(世界で使われている原材料)に群がる影の存在。
彼自身が動かなくても、彼の一言で、動く富豪たちがいた。
その中には、海を越えた“ある島国”の商人たちもいた。
はっきりとは言わなかったけれど、言外に含まれるその意図が、私には届いてしまった。
彼の家族はもう、その見返りとして莫大な資産を手にしていた。
だがその代償として、彼自身はもう自分の意思では動けない。
蜘蛛の巣に絡まった蝶のように。
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