夢の中。
私は、巨大なしま模様のヘビを飼っていた。
脱皮を終えたばかりのその体は、ぬめるように光を放ち、まるで新たな命を得たかのようだった。
ヘビは、大きな壺に入れられていたが、その壺にはもはや収まりきらないほど成長していた。
今にも壺の縁を越え、這い出ようとしている。
私は、それを隣にいた相棒に見せていた。
長年連れ添った信頼できる友であり、何も言わずともすべてを共有できる存在。
私は言った。
「見て、この中にいるの。」
相棒は壺の中をじっとのぞき込んだ。
すると、ヘビがするりと身を起こし、こちらを見た。
目が合った、その瞬間——私の胸に、言葉にならない声が響いた。
「私は、奪われた命の化身。
己の欲のために命を踏みにじった者に、責を問う者。」
場面が変わった。
重厚でありながら虚飾に満ちた洋館の寝室。
天蓋付きのベッド、金の刺繍が施された絨毯、重たいカーテン。
その中央に、一人の男が横たわっていた。
彼の名は“アレクセイ・ドロノフ”。
数多の犠牲を顧みず、自らの野望のために命令を下し、命を奪ってきた者。
彼の喉には、あのヘビが巻きついていた。
ヘビは静かに、しかし確実に彼の首を締めていた。
男は苦しそうにもがいていたが、まだ息があった。
それは、終わりではなく——見せつけるため。
彼が命じて散らせた数多の命。
あのヘビは、その静かなる怒りと悲しみの集まり。
争いの場で倒れた若者たちの無念が、ひとつに集まった姿だった。
「もう、あなたを赦さない。」
ヘビは何も語らずとも、そう伝えていた。
それでもドロノフは、再び“動かそう”としていた。
春の訪れを知らせる花が咲き始める頃——
かつての「誇り」を演出するかのように。
けれど、もはや彼の周囲には、本当の意味で従う者はいなかった。
命令を飲み込むしかない者はいても、心から従う者は、誰一人として。
私はその光景を、相棒と共にただ見つめていた。
目覚めてもなお、あの視線と息遣い、壺に満ちる重たく湿った“地の気配”が胸の奥に残っていた。
壺の中のヘビは、まだそこにいる。
その怒りが、再び蓋を押し上げる日は…
遠くないのかもしれない。
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2025.4.18 OliveR
※ この物語はフィクションです。登場する人物、国、団体等はすべて架空のものであり、現実の人物・組織とは一切関係ありません。
※ 読者に意識の変革と平和の在り方について考えるきっかけを届けることを目的とした創作です。
