Part 8:「ダミアンの選択」
夢の中で、私は再び彼に会った。
以前よりも疲れて見えた。
ダミアン・ストーン。あの大きな存在は、今や何かに追われ、逃げる準備をしているようだった。
「君か。前にも会ったな」
彼は私を見るなり、短くそう言った。
「あなたにはまだ、戻れる場所がある」
私はそう伝えた。決して上からでも、哀れみでもなく。
ただ、真実として。
彼はしばらく黙っていた。だがその沈黙の中に、心の葛藤があった。
「私は…多くを背負いすぎた。いや、選びすぎたのかもしれない」
彼の目は揺れていた。
「家族を守るためだった。国家を守るためでもあった。だが気づけば、私の手は…金と嘘で汚れていた」
その瞬間、夢の空間が変化した。
天井のない場所。広がる闇の中、彼の後ろにうごめく“影の者たち”の存在が見えた。
彼らは言葉を発さず、ただ存在で命令していた。
命令に従うことで、彼の“自由”が少しずつ削られていたのだ。
私は静かに一歩近づき、こう言った。
「影と契約することで得たものは、すべて幻想です。
でも、あなたの中の“本物”は、まだ消えていない。
それは、あなたの子が、そしてかつて愛した人が知っています」
その時、彼は初めて私の目をまっすぐ見た。
「もし、すべてを失っても、本物でいられるなら…」
ダミアンはつぶやいた。
「私は、“あの場所”に戻る覚悟をしなければならないのかもしれないな」
その瞬間、風が吹いた。
夢の中なのに、空気が動いたのをはっきり感じた。
まるで、何かが決意されたかのように。
私は確信した。
ダミアンの魂が、ほんの少しだけ、過去の自分に触れたことを。
8/15
