Part 6:「目覚めた者たち」
夢の続きは、まるで遠くの記憶が水面に浮かび上がるように静かに始まった。
私は一人きりではなかった。
目を覚ました“誰か”が、すでに世界のあちこちで動き出していた。
彼らは皆、名もなき存在だった。
肩書も、肩書きの裏にあるしがらみも持たず、ただ“真実に気づいた者たち”。
そして、奇妙な共通点があった。
彼らもまた――夢を見ていたのだ。
炎に包まれた都市。
繋がれた契約書。
闇に囁く影の声。
そして、あの名もなき男――ダミアン・ストーン。
夢の中で出会った彼の言葉を、それぞれが“違う形”で受け取っていた。
ある者は夢のあと、突然、投資の世界から身を引いた。
ある者は外交の席で、思わず「この取引は誰のためなのか」と問いかけた。
ある女性は、誰にも見せたことのないノートに「未来は書き換えられる」と記していた。
まるで、散らばっていた光の粒が呼応し始めたようだった。
私が気づいたのは、その“目覚めた者たち”が、互いにまだ顔も名前も知らないということ。
けれど、彼らはすでに“同じ地図”の上に立っていた。
私は思った。
「もし、この地図が繋がれば――誰も知らなかった未来が、見えてくるのかもしれない。」
そのとき、夢の中で再びあの老婆が現れた。
「次に起こるのは、“分断”ではありません。
“統合”が始まるのです。」
私は老婆に尋ねた。
「それは希望ですか?それとも、さらなる試練?」
老婆は微笑んで、こう言った。
「それを決めるのは、“光に気づいた者たち”です。」
夢はそこで、ふわりと終わった。
目覚めたあとの静けさに、私ははっきりと感じていた。
これはもう、ただの夢ではない。
これは、始まりの記録だ。
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