Part 3:「逃れられぬ使命と亡命の影」
「私は逃げられないんだ。」
彼がふと、空を見上げた。
その瞳には恐れがあった。
彼は語った――かつて、自身の帝国が崩れかけたとき、影の組織が手を差し伸べてくれたことを。
その恩義が今、彼に「使命」としてのしかかっている。
「本当は……アメリカを愛している。」
彼はそう言った。「でも、守るためには、私は壊さなければならないんだ。」
矛盾の極み。
それでも私は、その言葉に嘘を感じなかった。
彼の中には、確かに“祖国”への想いがあった。
だが今やそれは、脅されるカードのひとつになっていた。
命の保証。家族の無事。
すべてが“影の契約”の一部だった。
亡命――その選択肢も、すでに彼の中では何度もシミュレーションされていた。
一度は某国へ逃れる段取りまで整っていたという。
けれど、その情報が漏れた。
「逃げることすら許されないのか…」
そう言って、彼はふっと肩を落とした。
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