Part 14:「沈黙の交差点」
目の前に広がるのは、白い霧の中にそびえ立つ高い塔。塔の上部には、金の時計が不規則に回っていた。時間の秩序が崩れている。
私はその塔のふもとに立ち、誰かを待っていた。
やがて、黒いローブに身を包んだ影が現れた。声を発しないその存在は、私の胸の奥を見透かすように立ち止まり、静かに手を差し出してきた。
その手には、古びた巻物。
開くと、そこには世界地図と一匹の金色の蜘蛛の絵が描かれていた。蜘蛛の足は、いくつもの国をまたぎ、ひとつの中心に向かって線を伸ばしていた。
「すべての線が“彼”に集まっている」
そう聞こえたのは、私の心の声だったのか、霧の中からの囁きだったのか。
塔の上を見上げると、金の時計の針が、真下を向いた。
まるで「時が来た」と言わんばかりに。
私は静かに頷き、巻物を胸に抱えながら、塔の中へと足を踏み入れた。
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