《ダミアン・ストーン 〜偉大な国の影にて〜》

Part 11:「刻まれた選択」

私はまた、薄暗い部屋に立っていた。

前回の場所とは異なり、今度はどこかの地下室のような空間。

圧迫感のある狭さ、壁一面に張られた古びた紙の地図、そして無数の書類が床に散らばっている。

その真ん中に、ダミアン・ストーンが座っていた。

彼は背筋を伸ばして、目を閉じていた。しかし、顔には何か深刻な迷いの表情が浮かんでいる。

「また、来たのか?」

声を発するのは、おそらく意識の中で一番“弱い自分”からだろう。

私は一歩踏み込んで、静かに彼に近づく。

ダミアンはまだ目を閉じたまま、無言で私を待っていた。

「ダミアン、あなたが今、どれだけ悩んでいるのか私は知っている。

でも、もうひとつの道があることを忘れてはいけない」

彼はゆっくりと目を開けた。

「道か……」

その言葉には、まるでどこかで消えかけた希望を引き寄せようとしているような苦しみがあった。

「一度、あの道を選んだ時、もう引き返すことはできないと思っていた。

でも、今はどうだ?」

私は問いかける。

ダミアンはため息をつき、目の前の地図を見つめる。

「この地図の先にあるのは、誰もが欲しがる力だ。

私はそれを手に入れた。しかし、力を得た代償は……」

彼の言葉が途中で途切れた。

私が近づき、彼の肩に手を置いた。

「力には必ず代償が伴う。

でも、力を手に入れることだけが、すべての答えではない。

あなたが本当に求めていたのは、力を持つことじゃない。

それをどう使うか、何のために使うか、が大切なんだよ」

ダミアンは顔を上げ、私の目を見た。

その目には、かつて見たことのある強い意志が宿っていた。

「私がこの力を手に入れることで、何を成し遂げたかったんだろう……」

彼の声は低く、深い悔恨を感じさせる。

「もう、遅いのか?」

彼はつぶやいた。

私はしばらく沈黙した後、静かに答える。

「遅くはない。どんな道を選んだとしても、振り返って選び直すことはできる。

でも、最も大事なのは、今、どんな選択をするかだ」

ダミアンは立ち上がり、地図の上に置かれた古いペンを手に取る。

その手が震えていた。

「私は、まだ迷っている」

彼の声には、過去の決断が重くのしかかっていることが伝わってきた。

「迷うことは悪いことじゃない。迷いながら進むことで、人は本当の道に気づくことができる」

私は静かに微笑んだ。

彼は私の言葉にしばらく耳を傾けていたが、やがてペンを持った手を震わせながら地図に向かって書き込みを始めた。

その瞬間、部屋の壁が微かに揺れた。

選択の時が来たのだ。

「もう一度、信じてみる。

選び直すのは、きっとそれからだ」

ダミアンがつぶやいた。

そして彼は、ノートの上に力強くペンを走らせた。

その瞬間、地下室の薄暗い空間に、一筋の光が差し込んだ。

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投稿者: OliveR

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